ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.91 『満州アヘンスクワッド』漫画鹿子 原作門馬司 講談社 -抜粋8箇所

f:id:ReincarnationLove:20220311124928p:plain

 

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

 

満州アヘンスクワッド』

  漫画 鹿子

  原作 門馬司

    講談社

 

 

 

・覚えがある。

 私は

 こいつを

 知っている。

 この憎しみ……

 この嫌悪感は……

 そうか……

 こいつは

 私だ。

 かつて

 哈爾濱を

 異国人から

 取り返そうと

 躍起になっていた。

 奪われたものを

 奪い返そうと

 していた。

 

 

「昨日……

 夜

 何か

 話しているのが

 聞こえたの……

 キリル……

 どうして……

 行っちゃうの……?」

「ナターシャ、

 君のことは……

 ニーナに

 頼んである。

 俺と

 一緒にいても

 危険なだけ

 だからな」

「……」

「俺は

 哈爾濱で

 暴れすぎた……

 もう

 ここには

 いられない。

 でも

 ナターシャは

 違う……

 ロシア人の

 コミュニティも

 受け入れてくれる。

 これが

 一番

 “正しい”

 選択なんだ……」

「違う……

 私は……

 私は……

 キリルと

 一緒に

 いたい……

 どんなに

 苦しい生活でも……

 貧乏でも……

 どんなに

 危険でも……

 あなたと

 一緒なら

 私は……」

「……ナターシャ、

 笑わないで

 くれよ」

「……え?」

「夢があるんだ。

 いつか……

 二人で

 ロシアに帰って……

 小さな別荘を

 買いたい。

 昼は

 湖畔で

 ボートに乗り、

 夜は

 二人で

 揺り椅子に

 腰掛ける。

 窓の外に広がる

 美しい

 ロシアの景色を

 君と

 一緒に

 ずっと

 眺めていたい。

 そのために……

 俺は

 あいつらと

 稼ぎに行く。

 必ず

 君の眼を

 治療し……

 ロシアに

 共に

 旅立つために。

 待っていてくれ。

 愛するナターシャ。

 絶対に

 俺は

 君を

 迎えにくる。

 約束だ」

「キリル……

 信じてるわ……

 ずっと……

 待ってるから……」

 

 

「うちに

 駆け込んできた時から

 お前らが

 ろくでもない連中なのは

 わかってんだ。

 私は

 搾れるところからは

 搾るよ?

 悪人が

 金を持ち

 善人が

 死ぬなんて

 あっちゃならねえことだ」

 

 

「私の信念を

 教えてやろうか?

 それは

 人を

 救うことじゃない。

 人を

 見捨てないことだ」

 

 

「俺には

 金も……

 家もねえ……

 もう……

 駄目かと

 思った……

 頼れるのは……

 あんたしか

 いなかった……」

 

 

満州でよ……

 金のない奴が

 病気や怪我をしたら

 どうなる?」

「ただ……

 死を待つだけだ……

 誰も

 助けてなんか

 くれない……」

「そうだ。

 病院なんてものは

 少数の金持ちにしか

 縁のない場所さ。

 だから

 私は

 一人で

 闇医者を

 始めた。

 患者は

 決して

 追い返さない。

 病気で死ぬより

 怪我で死ぬより

 金がねえから死ぬのが

 一番辛いからな……」

 

 

「没落貴族

 というものは

 えてして

 心に

 空虚な穴を

 抱えているわ。

 支配力を失った

 元特権階級は

 過酷な差別を

 受ける。

 その穴は

 今も

 大きく

 深く

 蝕んでいること

 でしょう。

 きっと

 彼らの心を

 満たしてくれるはずよ

 真阿片が」

 

 

「商売に

 一番

 大切なものが

 何か

 わかる?」

「商売に……?」

「……ここで

 いいわ。

 行きの分と

 合わせて

 これで

 足りるわね」

「あの……

 ……え?

 ひゃ……

 百圓も!?」

「……ふふ

 それが

 答えよ。

 初期投資が

 商売に

 最も

 大切なこと。

 お金は

 使わなければ

 入ってこないの。

 あなた

 ……名前は?」

「……昊天です」

昊天

 私たちは

 満州旗人と

 商売していくのに……

 仲介役を

 探しているの」

「え……?」

昊天

 手を貸してくれるなら……

 千圓なんて

 あっという間に

 稼げるわよ……?」

「ほ……

 本当に……?」

「明日

 また

 同じ場所で

 会いましょう」

「ま

 待ってくれ!

 私は

 何を……

 すれば……

 いいんだ?

 仕事に

 必要なものは……?」

「ないわ。

 必要なのは

 何も

 “考えない”

 ことだけよ」

 

 

 

 

暮らしに花をタスことで、タスかる人や花を増やしたい【花の定期便(タスハナ)】