ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.136 『MAKERS メイカーズ』クリス・アンダーソン 関美和訳 NHK出版 ―切り抜き11カ所

 

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『MAKIRS メイカーズ』

 21世紀の産業革命が始まる

   クリス・アンダーソン

     NHK出版

     関美和訳

 

 

 

・かつて、

 アイデアだけで

 世界を変えるのは

 難しかった。

 画期的な

 ネズミ捕り器を

 発明したとしても、

 数百万個の単位で

 製造できなければ、

 世界は振り向いてくれない。

 マルクスの言葉通り、

 製造手段を支配する者が、

 権力を持つのだ。

 祖父は

 自宅の作業場で

 自動スプリンクラー装置を

 発明することはできても、

 工場を建てることは

 できなかった。

 商品化するには、

 製造企業に

 興味を持ってもらい、

 自分の発明の

 ライセンスを

 供与しなければ

 ならなかった。

 企業を説得するのは

 並大抵のことでは

 なかったし、

 発明家は

 自分の発明を

 コントロールするすべを

 失うことになった。

 製造手段を持つ者が、

 何を作るかを

 決めることが

 できたのだ。

 

 

・だが、

 祖父の物語は

 悲劇でも

 何でもない。

 実際には、

 その時代には珍しい

 サクセスストーリーだったのだ。

 僕の記憶の中の

 祖父は幸せそうで、

 祖父にしてみれば

 贅沢な暮らしをしていた。

 義理の祖母は、

 特許料が不満だったらしく、

 祖父が強く交渉しなかったと

 愚痴っていたが、

 僕は

 祖父が

 そこそこに正当な対価を

 得ていたのではないかと

 思っている。

 どの点から見ても、

 祖父は

 成功した発明家だった。

 祖父が申請した

 数多くの特許を

 彼の他界後に

 僕が見直したところ、

 オーブンや口述筆記用の録音再生機

 といった

 多くのアイデアの中で

 実際に商品化されたのは、

 あとにも先にも

 スプリンクラーだけだと

 わかった。

 

 どうしてだろう。

 

 それは、

 祖父が

 発明家であって、

 起業家ではなかったからだ。

 この違いこそが、

 本書の核になっている。

 

 かつて、

 起業家になるのは

 大変なことだった。

 産業革命時代の

 偉大な発明家やビジネスマン、

 たとえば

 蒸気機関の生みの親である

 ジェームズ・ワットと

 マシュー・ボールトンは、

 賢いだけでなく、

 特権階級だった。

 起業家のほとんどは、

 支配階級出身か、

 運良く

 エリートに仕える立場にいた。

 以来、

 歴史の大部分の間、

 起業といえば、

 街角に食料品店を開くことか、

 地元で何か小さな商売を営むことか、

 ごくまれに、

 突拍子もないアイデア

 ひと山当てようとすることを

 指していた。

 その場合も、

 大金持ちどころか

 一文無しになってしまうのが

 関の山だった。

 

 ところが、

 今の僕らは、

 何の苦もなく

 ウェブの恩恵に

 あずかっている。

――マーク・ザッカーバーグ

 フェイスブック

 そのいい例だし、

 彼に続けとばかりに

 創業された、

 何千もの

 ウェブ企業も

 そうだ。

 もちろん、

 失敗することも

 あるだろう。

 だが

 その代償は、

 クレジットカードの

 支払い滞納くらいのもので、

 生涯にわたる

 汚名や貧困ではない。

 

 

・僕らは

 みんな

 作り手(メイカーズ)だ。

 人間は

 生まれながらの

 メイカーズで

(お絵描きや

 積み木や

 レゴや

 手作りおもちゃに

 夢中になる子供を

 見るといい)

 もの作りへの愛情は、

 多くの人々の

 趣味や情熱の中に

 生きている。

 それは、

 工房や

 ガレージや

 おたくの部屋

 だけのことではない。

 料理が大好きな人は、

 キッチン「メイカー」で、

 オーブンがその工房だ。

(家庭料理は

 何よりのご馳走じゃないか)

 植物が好きな人は、

 ガーデン「メイカー」だ。

 編み物、

 裁縫、

 スクラッチブック作り、

 ビーズ編み、

 クロスステッチ

――どれも、

 もの作り(メイキング)だ。

 

 こうした

 創作活動を通して、

 数百万の人々が

 自分の

 アイデアと夢と情熱を

 表現している。

 

 

ジョブズの父親、

 ポール

――高校中退の機械工――

 は、

 作業机の一部を

 スティーブのために割き、

 ものの作り方や、

 それを

 いったん分解して

 また作り直すやり方を

 教えた。

 ジョブズ

 シリコンバレー

 エレクトロニクス企業で働く

 隣人から、

 この分野のことを

 学んだ。

――たとえば、

 テレビが

 突然家庭の中に現れた

 魔法の箱ではなく、

 人間が苦労を重ねて

 作り出した

 設計物であることを

 教えてもらった。

「一見

 かなり複雑そうなことでも、

 探求と学習を通して

 理解できると

 知ったことは、

 大きな自信になった」

 とジョブズは語っている。

 

 

・成熟産業を改革するには、

 アイデアを公開して

 外部の意見を

 取り入れることが

 一番だ。

 そこで

 僕は、

 いくつかの

 基本的な質問を

 投げてみた。

 この質問は、

 改革用ツールキット

 といってもいい。

(実際、

 どんな製品にも

 これが応用できる)

 

①もし

 その製品が

 インターネットにつながると、

 何がどう良くなりますか?

②もし

 デザインが

 誰にでも改変できるとすれば、

 どう改善されるでしょう?

③特許使用料がなければ、

 値段はどのくらい下がりますか?

 

 

・イギリスで

 アイデアが財産の一種だと

 認められたのは、

 歴史の必然だった。

 金、

 土地、

 そのほかの

 あらゆる

 伝統的な形式の財産は、

 その総量に

 おのずと

 限りがあるのに対して、

 潜在的に価値のある

 アイデアの数は

 限りない

(と

 やっと

 わかったのだった)

――産業革命は、

 何より

 発明の革命だった。

 発明の数が

 爆発的に

 増加したばかりか、

 発明のプロセスそのものが

 劇的に変わったのである。

 

 

・この時代以前と以後では、

 人々の生活に

 驚くほどの

 大きな違いがある。

 寿命の延びや

 生活水準の向上を

 期待するようになったのは、

 ここ数百年のことだ。

 それ以前には、

 ものごとに

 大きな変化はなく、

 数千年にわたって

 劣悪な状況が

 続いていた。

 イギリス貴族

(もっとも多くの

 記録が残っている)

 の平均寿命は、

 1200年から1600年の間に

 1歳と延びていない。

 しかし、

 1800年から今日までに

 西欧の白人男性の

 平均寿命は

 38歳から76歳と

 2倍に延びている。

 最大の要因は、

 乳幼児の死亡率の

 減少だ。

 それを除いても、

 平均寿命は

 この期間に

 20歳近く、

 つまり

 人類史上まれに見るほど、

 大幅に延びている。

 

 その理由には、

 様々な変化が

 挙げられる。

 衛生環境や、

 医療サービスの向上。

 都市化。

 そして

 教育。

 だが

 確かなのは、

 人々は

 豊かになるにつれ、

 より健康になった

 ということだ。

 そして、

 機械によって、

 とりわけ、

 ものを作る機械によって

 人々の能力が

 増幅されたために、

 豊かになれたことも

 間違いない。

 もちろん、

 人類は

 先史時代から

 道具を使っていたし、

 火、

 農耕具、

 家畜、

 品種改良などの

「テクノロジー」は、

 蒸気機関と同じくらい

 画期的な技術だ

 という見方もあるだろう。

 だが、

 農耕技術は、

 より多くの人に、

 より簡単に

 食べ物をもたらしたに

 過ぎない。

 ものを作る機械、

 洋服から交通機関までを

 製造し、

 人々の生活の質を

 上げてくれる機械には、

 それと違う

 何かがある。

 

 ひとつには、

 世界中の人々が

 こうした製品を

 欲しがったために、

 貿易が

 発達したことがある。

 貿易の発達は、

 国の比較優位性を

 推し進め、

 国々は

 自分たちが

 最も得意なことに

 集中し、

 足りないものを

 輸入するようになった。

 このことが、

 全員の生産性を

 押し上げた。

 その結果、

 成長が

 加速した。

 マンチェスターの綿工場で

 起きたことが、

 世界経済の上でも

 起きたのである。

 

 

・作家のヴェンカテシュ・ラオは、

 最も変わったのは

 時間の使い方だと言う。

 機械が作業を速め、

 少ない時間で

 より多くが

 生み出されるようになった。

 それで、

 余った時間を

 仕事や遊びに

 使えるようになった。

 産業革命が生み出したのは、

 何にも増して

 長時間の余暇であり、

 それが

 近代を象徴する

 ほぼすべてのものの

 発明につながった。

 400年前は、

 周囲の

 ほぼ全員が

 生存のための必需品、

 すなわち

 衣食住回りのものの

 生産に関わっていた。

 それが、

 今では逆に、

 必需品の生産に関わっている人は

 周りには

 ほとんどいない。

 

 

蒸気機関

 最大の功績は、

 新天地の植民地化を

 助けたことではなく、

 時間の植民地化を

 始めたことにある。

 シュンペーターの唱える

 成長[経済学者の

 ヨーゼフ・シュンペーター

 唱えた

 イノベーションと企業の

 増加に関する理論]とは、

 時間ではなく

 アイデアによって

 促されるものだと

 誤解する人は

 少なくない。

 だが、

 余ったエネルギーから

 生み出されたアイデアは、

 さらなる時間を生み、

 その一部が

 次のアイデアを生むために

 費やされることで、

 さらに時間を生む。

 そこに

 好循環が生まれるのだ。

 

 

・なるほどと思うのだが、

 今注目を浴びている

「幸福の経済学」によると、

 人間は

 ある水準まで満ち足りると、

 高給でも

 やりがいのない仕事より、

 給料は劣っても

(といっても

 生活が保障されれば)

 やりがいのある仕事を、

 むしろ

 積極的に選ぶという。

 シカゴ学派

 エリック・ハーストの

 研究では、

 起業家の半数は、

 金儲けのためだけでなく

 幸福を追求するために

 起業するという。

 

 

・デジタル・ファブリケーションを

 普及させるキラーアプリは、

 パーソナル・ファブリケーションだと

 気がついたのです。

 ウォルマートで買えるものを

 作るのではなくて、

 買えないものを作るために

 使われるのだと。

 それは、

 ちょうど

 メインフレームから

 パーソナル・コンピュータへの

 転換のようなものです。

 その二つは

 用途が違ったのです

――パーソナル・コンピュータは

 在庫や給与管理のためのものでは

 ありません。

 それは、

 電子メールから

 ビデオゲームまで、

 個人的(パーソナル)なことのために

 使われます。

 パーソナル・ファブリケーションについても、

 同じことが言えるでしょう。

 

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