ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.163 『ウィズダムを売る老婆』タルムード

 

にほんブログ村 本ブログ 本・読書情報へ
にほんブログ村

 

ウィズダムを売る老婆》

 

 

 

 ある村に

 貧しく

 若い夫婦が

 住んでいた。

 あまりに

 貧しいので、

 男は

 出稼ぎにいくことにした。

 遠い町で

 八年間

 働き続け、

 節約を重ねて

 袋にいっぱいの金貨を

 貯めることができた。

 男は、

 妻の元へ帰ろうと、

 徒歩で二十日間もかかる

 道のりを急いだ。

 いよいよ最後に泊まる

 宿を求めて

 ある町に入ったところで、

 男は

 金貨一枚を使って、

 待っている妻に

 何かお土産を買って

 帰ろうと思った。

 しかし、

 市場には

 何も気に入ったものが

 なかった。

 お土産を諦めて

 宿に帰ろうとした時、

 市場の片隅で

 老婆が座って

 何かを売っていた。

 男は興味を持って、

 その老婆に

「何を売っているんですか」

 と聞いてみた。

 すると

 老婆は、

ウィズダム

 売っているんですよ」

 と、

 しわくちゃの顔で

 答えた。

「そのウィズダム

 売ってください」

 と男が言うと、

「それでは、

 その袋に入った金貨

 全部

 支払ってくだされや」

 と老婆は返事をした。

 男は

 あまりにも

 値段が高いので

 驚いたが、

 ウィズダム

 何にも増して

 価値があるものだと

 思い、

 金貨を全部

 渡した。

「では教えよう。

 第一に、

 同じ目的地に

 行く道が

 二つあったら、

 決して

 近道をしようとしては

 いけない。

 時間がかかっても

 安全な大きな道を

 行きなさい。

 第二に、

 あなたの頭の中に

 怒りが込み上げてきても、

 それを

 その場で

 爆発させては

 いけない。

 一晩

 お待ちなさい。

 翌朝の考えが

 あなたを

 正しい道に

 導くでしょう」

 男は

 老婆の言った

 ウィズダムの意味を

 考えながら、

 宿に戻ろうとした。

 しかし

 ふと我に返って

 急に不安になった。

「あのウィズダム

 袋いっぱいの金貨の

 価値があるのだろうか」

 と、

 老婆がいたところに

 駆け戻った。

 そこには

 老婆の姿は

 なかったが、

 座っていた場所に

 ユダヤ人が

 肩にかけるショール、

 タリートが置いてあり、

 その下に

 先ほど支払った金貨が

 置かれているのを

 見つけた。

 男は

 不思議に思ったが、

 タリートの下の金貨を

 取り戻した。

 翌朝、

 馬車に乗り、

 家路を急いだ。

 山道に差し掛かると、

 道が二手に分かれていた。

 一つは

 山を迂回していく

 普通の道、

 もう一つは

 山を越えていく

 険しい道だった。

 険しい道のほうが

 近道だったが、

 その時

 肩にかけていた

 タリートに手が触れ、

 男は

 老婆に教えてもらった

 ウィズダム

 思い出した。

 そして、

 馬車の御者に

 時間がかかっても

 普通の道を行くように

 指示した。

 故郷の村に着いて

 聞いてみると、

 山道で

 がけ崩れがあり、

 ほとんどの馬車が

 谷底に転落した

 ということだった。

 男の到着は

 深夜だった。

 家に

 一瀉千里に

 駆けつけようと

 思ったが、

 妻が

 もう寝ているかも

 しれないと思い、

 近くの宿で

 一泊することにした。

 宿に入ると、

 なんと

 そこで

 妻が

 宿の給仕をしていた。

 ところが、

 妻は

 夫を見ても

 素知らぬ顔をしている。

 まるで

 他人に接するような態度で

 自分に給仕をするので、

 男は

 無性に

 腹が立った。

「八年間も

 俺が働いて

 帰ってきたというのに、

 素知らぬ顔というのは

 いったい

 どういうことだ。

 きっと

 他に男ができたに

 違いない」

 そう決めつけて、

 男は

 妻を

 大声で

 怒鳴りつけようとした。

 その時また、

 肩にかけている

 タリートに手が触れ、

 老婆のウィズダム

 思い出した。

 ここで

 爆発しては

 いけないと、

 一晩待ち、

 家に帰って

 ドアを開けると、

 妻が

 男に飛びついてきた。

「ああ、

 やっぱり

 あなただったのね。

 あなたに

 よく似た人を

 宿で

 見かけたんだけれど、

 立派な服装を

 しているから

 他の人かもしれないと

 思って、

 声をかけられなかったのよ。

 帰ってきてくれて

 嬉しい」

「いや、

 俺こそ

 声をかけなくて

 悪かった。

 君が

 素知らぬ顔を

 しているものだから、

 俺のことなど

 忘れてしまったのかと

 思ったんだよ」

 二人は

 抱き合って

 再会を喜んだ。

 その後、

 二人は

 力を合わせて

 仲良く

 幸せに暮らした

 ということだ。

 

 

ウィズダムには

 お金を払う。

 対価(犠牲)なしで、

 賢明さは

 身につかない。

 

 

「何事にも

 熟慮と慎重が

 大事」

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

 

 

 

オンライン映像スクール【DEMICRAWFILE】