ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.43 『シャケ』土山しげる画 津流木詞朗作 ー

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   『シャケ』

      画 土山しげる

      作 津流木詞朗

 

 

 

「いいか

 ぼうや

 カッコつけてるヤツにゃ

 死んでも

 人に知られたくねえ

 弱みの

 ひとつやふたつは

 あるもんだ」

 

 

「握って

 銭になる

 男の弱みは

 そいつの

 金看板を

 おろさせるぐらいの

 毒じゃねえと

 役には立たねえ」

 

 

「泣きべそのしょんべんたれは

 ヤツに

 自分の弱みを

 思い起こさせる

 キーワードみたいなもんだ」

「……ということは」

「ああ、

 ヤツの裏切りを

 知っているのは

 俺だけだ。

 まあ

 組長が助かったから

 誰も

 ヤツを疑っちゃあ

 いねえけどな……

 いいか、

 ぼうず。

 握った弱みを

 銭にするにゃあ

 弱みを

 直接つついちゃ

 だめだ。

 そんなことすりゃあ

 相手は

 逃げ出すか

 必死で反撃してくる!」

 

 

どん底から

 どう

 這い上がるかで

 男の価値は

 決まる。

 おめえは

 凡人が

 逆立ちしても

 できねえ

 いい経験してんだ」

 

 

「田舎じゃ

 特に

 服装で

 人を見る。

 あやしまれないように

 するのが

 話を聞き出すコツの

 ひとつだ」

 

 

「おっさん、

 いつまで

 ここにいる

 つもりだよ」

「女が

 希望を

 取り戻すまでだ……

 このまま

 俺たちが消えりゃあ

 彼女

 間違いなく

 自殺する……

 人間、

 死にてえと

 心底

 思うのは

 ほんの

 数時間なんだ……

 その数時間を

 誰かが

 守ってやれば

 死にてえ気持ちは

 失せるもんだ」

 

 

「女って動物は

 貢いだ金額が

 多ければ多いほど

 貢いだ金への

 執着を

 男への愛だと

 錯覚する

 んじゃねえのか。

 だから

 ホストだって

 ジゴロだって

 まず

 女に

 金を使わせて

 深みに

 ハメるんじゃねえか」

「クズな男に

 金を出すことが

 女の転落の

 はじまりって

 わけか……」

「私が

 銀行員だったら

 たぶん

 何十億も

 貢いでいたと

 思うわ……」

「女には

 夜叉と天使の

 二通りがいる……

 馬鹿な男は

 夜叉に泣かされ

 悪い男は

 天使を操る……か」

 

 

「いいか、

 ぼうず。

 馬鹿にゃあ

 二通りある。

 知恵のない馬鹿と

 知識のない馬鹿だ。

 おめえは

 知識のない馬鹿だな……」

「どういうこった?

 意味が

 わかんねえな」

「知恵のない馬鹿は

 救いようがねえ。

 知識のない馬鹿は

 お勉強すれば

 りこうになれる。

 金儲けの

 お勉強をすれば

 1億7千万くらい

 すぐに

 返せるさ」

「俺

 金儲けの

 才能あるのか?」

「野球より

 あるようだぜ」

 

 

「命捨てる覚悟なら

 気迫より

 狂気が

 勝つ。

 それが

 男のケンカだ」

 

 

「世間の

 ボンクラどもが

 よく言うよな。

 チンピラとは

 付き合えねえが

 親分クラスなら

 安心だってよ。

 チンピラは

 5万、10万の

 金のために

 人を傷つけるが

 親分クラスは

 でかい銭のためなら

 他人を

 地獄へ

 落としやがる……

 チンピラも親分も

 ひと皮むけば

 同じヤクザだってことが

 ボンクラどもには

 わからんらしい」

 

 

「俺の人生は

 俺のもんだ。

 あんたに

 心配して

 もらわなくても

 いいぜ」

 

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