ひょっぽこ読書記録No.133 『孫子の兵法がわかる本』守屋洋 知的生きかた文庫 ー切り抜き6箇所
『孫子の兵法がわかる本』
知的生きかた文庫
・孫武は
斉の国の
出身である。
兵法に通じていたので、
呉王闔慮に召された。
闔慮は
孫武にたずねた。
「そなたの著した
兵法書十三篇は、
全部読んだ。
ひとつ試しに
練兵を見せてくれぬか」
「結構です」
「女でもできるか」
「できます」
かくて
宮廷の美女
百八十人を
かりだして
練兵をすることになった。
孫武は
まず
隊を二つに分け、
王の寵姫二人を
それぞれの隊長に
任命する。
そして
全員に
矛を持たせ、
「どうだ、
自分の
胸、左手、右手、背中が
わかるか」
「はい」
「では、
前と言ったら
胸を見よ。
同じく
左と言ったら
左手、
右と言ったら
右手、
後ろと言ったら
背中のほうを見よ。
良いな」
「はい」
号令を
女たちに伝えると、
孫武は、
刑罰に使う
マサカリを持ち出した。
そして
号令が全員に行き渡るよう
再三
説明を繰り返した。
ところが、
いざ
太鼓を鳴らして、
「右」
と言うと、
女たちは
ケラケラ笑い出した。
孫武は、
「号令が
理解しにくかったのであろう。
私が悪かった」
と言って、
前と同じように
号令の説明を
何度も繰り返した。
ところが、
再び太鼓を鳴らして、
「左」
と言うや、
またもや
女たちは
ケラケラ笑うばかりである。
孫武は言った。
「さきほどは
私の落ち度であったが、
今度は違う。
全員が
号令を
よく理解しているはずだ。
号令通りに動かないのは
隊長の責任である」
手にしたマサカリで
二人の隊長を
斬ろうとする。
呉王は
テラスから観覧していたが、
寵姫が
斬られそうになるのを
見て、
慌てて
ただちに
伝令をとばした。
「そなたの
優れた練兵ぶりは
すでに見た。
その二人の女がいなくては、
わしは
食事も喉を通らない。
どうか斬らないでくれ」
しかし
孫武は、
「この部隊の将は
私です。
将が軍にある時は、
君命たりとも
お受けできないことも
あります」
と言うや、
二人の隊長を切り捨て、
寵姫に次ぐ
美女二人を
後任の隊長に
任命した。
そのあとで、
太鼓を叩き、
号令を下すと、
女たちは
左、右、前、後と、
号令通り
整然と行動し、
しわぶき一つしない。
孫武は
王に伝令を出して
報告した。
「練兵は
すでに完了しました。
こちらに来て
お試しください。
王が命令されれば、
兵は
火の中、水の中でも
飛び込みます」
「いや、
それには及ばない。
そなたは
宿舎に戻って
休息されよ」
「どうやら
王は
兵法の理論だけは
お得意ですが、
実践のほうは
苦手なようですな」
こうして
闔慮は、
孫武が
用兵に優れていることを
知り、
彼を
将軍に取り立てた。
呉は
その後、
西は
強国楚を破って
都の郢を攻略し、
北は
斉、晋を脅かして
諸侯の間に
名を高めたが、
これは
ひとえに
孫武の力によるものである。
「戦争は、
他のいかなる
社会現象にもまして、
見通しを立てにくいものだ。
つまり、
その動きは
必然的であるよりも、
むしろ
蓋然性に
支配される。
しかし、
戦争も
人間の思い及ばぬ
神秘なものではなく、
やはり
それなりの
法則性を持つ
社会現象である。
したがって、
『孫子』のいう
『彼ヲ知リ己ヲ知レバ、
百戦シテ殆ウカラズ』
という命題は、
やはり
科学的な命題
といってよい」
「たとえば、
できるのに
できないふりをし、
必要なのに
不必要と見せかける。
遠ざかると見せかけて
近づき、
近づくと見せかけて
遠ざかる。
有利と思わせて
誘い出し、
混乱させて
突き崩す。
充実している的には
退いて
備えを固め、
強力な敵に対しては
戦いを避ける。
わざと挑発して
消耗させ、
低姿勢に出て
油断を誘う。
休養十分な敵は
奔命に疲れさせ、
団結している敵は
離間をはかる」
・ソノ無備を攻メ、
ソノ不意ニ出ヅ。
(敵の手薄につけこみ、
敵の意表をつく)
「不打不成相識」
・中国人というのは、
みじめな勝ち方を
するくらいなら、
むしろ
利口な負け方を
したほうが
はるかに
ましだと
考えるのである。
1回の注文で100万円の販売実績があります!ノベルティ・粗品の【小ロットン】