ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.44 『交流・直流戦争から世界システムへ ニコラ・テスラと発明王エジソン』牧野武文著 ー抜粋12箇所

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   『交流・直流戦争から世界システム

    ニコラ・テスラと発明王エジソン
      牧野武文

 

 

 

・決して、

 オカルトなどに

 惑わされることのない

 常識をお持ちの

 読者の皆さんも、

 世界を

 2週間で

 壊滅させることのできる

地震兵器」や、

 無線で

 電力や情報を

 世界中に送る

世界システム」、

 地球を

 半分に

 割ってしまうことができる

「地球分割法」、

 強烈な火花が

 飛び散る

「高周波増幅器

 という

 ニコラ・テスラ

 数々の発明品を

 見れば、

「ああ、

 やっぱり」

 と思ってしまうはずだ。

 これらの

 テスラの

 マッドアイテムは、

 大幅に

 誇張して

 伝えられている

 とはいえ

 事実なのだから、

 やはり

 テスラは

 マッドサイエンティスト

 王様ではないか

 と思われても

 無理はない。

 

 

・一方で

 こう反論する人も

 多い。

「テスラは

 決して

 マッドなんかではない。

 れっきとした

 発明家であり

 科学者である。

 それは

 磁束密度の単位に

 テスラ(=1万ガウス)が

 使われていることからも

 わかる。

 惜しくも

 受賞を逃したが

 ノーベル物理学賞

 候補にもなった。

 無線通信の発明も

 マルコーニということに

 なっているが

 本当は

 テスラで、

 それは

 特許裁判でも

 認められている。

 マッドなんて

 とんでもない!」

 これも

 また

 事実である。

 

 

・テスラの

 発明したものを

 見ていただければ、

 その守備範囲が

 いかに

 広いかが

 よくわかるだろう。

 電気分野での

 ダ・ヴィンチ

 といってもいいほどの

 八面六臂ぶりだ。

 しかし、

 そこには

 一貫した

 テーマがあり、

 同時代の

 ライバルであった

 エジソンのような

 ダボハゼ的広がりとは

 やや趣きが

 違っている。

 

 

エジソン

 基本的な手法は、

 やみくもに

 研究と実験を

 繰り返し、

 目新しい現象には

 とにかく

 特許をとってしまう。

 そして、

 他のだれかが

(例えばグラハム・ベルの電話)

 同じジャンルの

 製品をつくりあげると、

 特許侵害で訴え、

 相手の開発を

 遅らせ、

 その隙に

 エネルギッシュな

 仕事ぶりで

 製品化してしまう

 というものだった。

 

 

エジソンは、

 自分の仕事を

 アートや科学の

 領域に属している

 とは考えてなく、

 ビジネスに属するものだ

 と考えていた。

 そのため、

 アートや科学

 という角度から見ると、

 やや

 首を

 ひねりたくなってしまう

 仕事ぶりだった。

 そのいちばんいい例は、

 エジソン効果だろう。

 エジソン

 真空管の原理を

 発見し、

 それは

 現在の

 半導体にまで

 つながる技術だったが、

 エジソン

 エジソン効果を

 利用した製品を

 ひとつも

 生み出していない。

 自分の生み出したものの

 価値が

 わかっていなかった節がある。

 エジソン

 あくまでも

 事業家色の強い

 “発明王”だったのだ。

 

 

・一方で、

 ライバルだった

 テスラは

 研究者色、

 思想家色の

 強い

 発明家である。

 研究所が

 経済的に

 追いつめられたときも、

 過去の

 研究成果を

 製品化して

 資金を集める

 という

 常道に

 興味を示さず、

 未来の研究にばかり

 資金をつぎこみたがった。

 

 

・大切なのが

 テスラの

 発明品には

 一貫した軸があった

 ということだ。

 そのキーワードは

「回転体」だ。

 テスラは

 回転するものに

 抑えきれない

 魅力を感じていたようだ。

 回転するモーターから

 出発して、

 交流の世界を知り、

 そこから

 さまざまな世界が

 開けていった。

 一見、

 まとまりのない

 テスラの

 発明品も

 時代を

 追ってみていけば

 ちゃんと

 芯が一本

 通っていることが

 わかるのだ。

 いわば、

 テスラは

 探求者だったのである。

 

 

・テスラの

 最初の発明は

 5歳のときだ

 といわれている。

 近所の小川を

 利用して

 小さな水車を

 つくった

 という

 エピソードがある。

 その想像図

(後の伝記絵本などの挿絵)

 を見てみると、

 木製の

 何の変哲もない

 小さな水車で、

 これといった

 仕事をするわけでもなく、

 発明と呼ぶには

 やや大げさなような気もする。

 玩具といったほうが

 正解だろう。

 とはいえ、

 5歳の子供が

 自力でつくったというのは、

 周囲の大人を

 びっくりさせるには

 十分だった。

 ここで

 注目したいのは、

 テスラの

 嗜好である。

 テスラの

 発明人生の

 基本は、

 ずっと

 この水車のような

 回転体だ。

「外界から

 エネルギーを

 とりだし、

 回転する物体」

 テスラは

 一生

 この回転体に

 魅せられていくことになる。

 

 

・グラム発電機を使った

 講義をおこなった

 ペーシェル教授は

 テスラの

 アイデアに対して

「テスラ君は

 偉大なことを

 成し遂げるかも

 しれませんが、

 おそらくは

 絶対に

 実現できないでしょう。

 それは

 重力のような

 一定の力を

 回転力に

 変換することに

 相当します。

 これは

 永久運動の図式で、

 不可能なアイデアです」

 と語ったという。

 当時、

 交流発電機を

 考案することは、

 永久運動期間を

 つくろうとするのと

 同じくらい

 難しいことだったのだ。

 それに熱中した

 テスラは、

 やはり

 異才であり、

 ここに

 マッドさの

 原型が

 見られる

 といえなくもない。

 

 

・テスラは、

 興奮しながら

 ヨーロッパで

 やってきた仕事、

 特に

 交流モーターの

 素晴らしさを

 エジソン

 訴えた。

 ところが

 エジソンの反応は

 こうだった。

―――

「やめろ!」

 エジソン

 腹立たしげに

 言った。

「馬鹿な話は

 もうよせ。

 とんでもない。

 わが社は

 アメリカで

 直流の事業を

 始めたばかりだ。

 評判は

 とてもいいし、

 私が

 ひねくりまわしてきたのは

 それだけだ。

 まあいい、

 君には

 仕事をしてもらおう。

 船の照明設備の

 修理はできるかね?」

―――

 しかし、

 テスラは

 強くは

 反論しなかったようだ。

 それはそうだろう。

 エジソンの下で

 働けるというのは、

 今でいえば、

 大学生が

 いきなり

 ソニーやグーグルの

 開発リーダーに

 抜擢されるようなものだ。

 あるいは

 それ以上かもしれない。

 こんなチャンスを

 つまらない口論で

 ふいにする

 馬鹿はいない。

 

 

エジソン

 干草の山から

 針を一本

 見つけようとすると、

 やおら

 麦わらを

 一本一本

 丹念に

 調べ始め、

 探しているものが

 見つかるまで

 ミツバチのような

 勤勉さで

 働き続けるだろう。

 私は

 ほんの

 わずかな

 理論と計算で、

 その労力の

 90%が

 節約できることを

 知っているので、

 エジソン

 行動を

 気の毒に

 思いながら

 見ていた」

 

 

・“助手”として

 認められた

 テスラは、

 発電機の

 発電効率

 改良する

 仕事を

 自ら

 買って出た。

 テスラは

 入念なプランを

 示したため、

 エジソン

「もし

 開発に成功したら

 5万ドルの

 ボーナスを

 出そう」

 と約束した。

 約1年かかって、

 テスラは

 約束通りに

 効率的な

 発電機を

 開発したが、

 エジソン

 ボーナスの支払いを

 拒んだ。

「テスラ君、

 君は

 我々

 アメリカ人の

 ユーモアを

 まだ

 理解していないのだね」

 と言ったという。

 そして

 テスラの

 現在の週給である

 18ドルを

 28ドルに

 昇給させることを

 提案した。

 

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