ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.85 『黄昏ゆく街で』尾崎豊 角川書店 ー抜粋14箇所

f:id:ReincarnationLove:20220311124928p:plain

 

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

 

『黄昏ゆく街で』

  尾崎豊

   角川書店

 

 

 

・人には

 時の流れの中で

 自分が

 どれくらい

 変わったかを

 知る術は

 何もない。

 できることといえば、

 黄昏てゆく街を

 茫然と

 ながめていた

 自分が

 そこに

 立っていたことを

 確かめようと

 することだけだろう。

 

 

・何かがね、

 足りなかったのさ。

 君に似合う

 優しさのすべてを

 捧げるには、

 もうすでに

 あの時

 気づいていてさえ

 遅すぎたのかも

 しれない。

 ただ

 君と

 別れてから

 振り返りざまに

 見た

 あの

 黄昏へと

 消えてゆく

 街並みの中に、

 僕は

 心から

 君に

 送り返してあげたい

 本当の何かを

 見たような気が

 したんだ。

 だからね、

 お願いだから

 笑わずに

 この話を

 最後まで

 聞いてほしいんだ。

 僕の

 黒い

 ひとつぶの

 染みが、

 純白の君の中で

 いかに

 愚かであるかを

 さらけ出してしまうために。

 そして、

 それが

 せめてもの

 諦めと希望の

 レクイエムになることを

 僕は

 望んでやまない。

 

 

・僕は

 運命

 というものさえも

 信じるように

 なった。

 僕は、

 正直さより

 上手く

 ごまかせる人間に

 なりたい

 と思う

 気持ちのほうが

 強くなってしまったし、

 騙されるより

 騙してやりたい

 と思う

 気持ちのほうが

 強くなっている。

 

定額で雑誌が読み放題 | スマホ、タブレット、PCからも

 

・君が、

 一年ぶりに

 突然

 電話を

 かけてきたのは、

 君自身も、

 僕の中で

 もう一度

 自分を

 確かめたかったのだろう。

 君からの電話を、

 僕は

 少し前から

 予感していたんだ。

 だけど

 僕の心は

 あの日から

 閉ざされたままだ。

 ずいぶんと

 勝手な

 言いぐさかもしれないが、

 僕らが

 だした

 唯一の答えは

 裏切ることなんだろう。

 

 

・そんなこと、

 分かってくれる

 誰かが

 一人でもいるとは

 思わない。

 けれど、

 人間として

 理解されることを

 期待してしまうのも、

 当然のことだと

 僕は

 勝手に

 解釈している。

 

初月無料!漫画40,000冊・雑誌700誌・漫画雑誌80誌が読み放題

 

・何故って、

 人間は

 傷みを

 忘れるように

 できている

 じゃないか。

 それが

 何故なのかを

 知るために

 僕らは

 何かを

 裏切る。

 いや

 もうすでに

 この世に

 生を享けた瞬間に

 裏切っていたのだろう。

 知りたいがために

 傷つけ合い、

 確かめたいが故に

 嘘をついてゆく

 毎日の自分を

 ごまかしているのを

 忘れるために。

 

 

・決して

 辿り着けない

 君の聖地へと

 一歩でも

 近づくために、

 僕は

 何度となく

 どれくらい

 強く

 思い

 願っただろう。

 それが

 たんなる

 言葉のあやとでも

 いえるほど、

 ひどく

 軽い

 あたりまえの

 ないものねだり

 だったのかを、

 僕が

 気づくまでに。

 だからね、

 君に

 会ったら

 最初に

 こう

 言おう

 と思った。

 今は

 もう

 黄昏てゆく街で、

 誰の愛も

 僕は

 見つけられや

 しない……。

 

 

・君と別れてから

 いろいろ

 考えてみた。

 そしたら

 辿り着いたところがね、

 僕の

 想像以上に

 何もないところだと

 気づいたんだ。

 答えも

 傷みも

 笑顔も

 喜びも

 何もないところだった。

 というより

 むしろ、

 どうやって

 自分の

 胸の思いを

 消し去ってゆくかだけなんだ。

 君も

 僕が

 そのことに

 気づくことを

 期待し、

 また

 それを

 恐れていたんだろうね。

 君を

 忘れるのに

 一年もかかって

 最後に

 残されたものはといえば、

 すべてを

 忘れる傷みだったんだ。

 これは

 あと何年かかっても

 消せないかも

 しれない。

 僕が

 最後に見た

 君と

 同じ色をした

 黄昏が

 もう一度

 訪れたとしても……。

 

百貨店初のファッションサブスク【AnotherADdress】

 

「たぶん

 生きているうちで

 いちばん

 楽しいことって、

 自分を

 試していた時

 じゃないかしら」

 君は

 瞼を閉じて

 僕の胸に

 顔を

 すりよせた。

 僕は

 そっと

 肩を抱いた。

「答えのでないものに

 必要以上に

 こだわりすぎても

 しょうがない

 ってことかい。

 たとえば

 優しいだけの

 心とか、

 いちばん

 正しい

 生きかたとかさ、

 そんなものを

 求めすぎて、

 せっかく

 大切に

 育んできたはずの

 愛情さえ

 犠牲にしてしまったんだから、

 僕は……」

「すべてが

 うまくゆかなければ

 気が済まなかったんでしょ」

「ああ、

 すべての

 バランスが

 崩れてしまうんじゃないか

 と思っていた。

 そのひとつが

 足りないせいで……」

 君は

 僕のポケットから

 手を抜いて

 僕の顔を

 ながめていた。

「そうね。

 やっぱり

 何かが

 足りなかったのよ。

 足りないものが

 ひとつあっても

 ふたつあっても

 やっぱり

 足りないものは

 足りないわ。

 あなたは

 自分に

 手かせや

 足かせをつけて

 思い出を

 美化しようと

 しているんでしょ。

 おかしな人ね」

 

 

・枯れた

 桜の木の下で

 僕らは

 幾年月かの

 時間の流れを

 思い浮かべていた……。

 別れが

 あまりにも

 残酷なことならば、

 許すということは

 あまりにも

 切ないものだ。

 忘れることが

 できずにいる

 自分を

 みじめに

 さらけ出す。

 黄昏は

 そんな

 人間の心を

 影絵のように

 彩って、

 まるで

 叶えられなかった

 すべてを

 もとの場所へと

 連れ戻して

 くれそうだ。

 深い闇を

 通り抜け、

 新しい朝を

 迎えられるような、

 そんな気持ちにさせる。

 

 

「私が

 初めて

 東京に着いた時にね、

 やっぱり

 同じように

 感じたの。

 何かが

 この街には

 足りない気がするなって」

 君の瞳は

 いつものように

 遠くを

 見つめていた。

「だから

 一生懸命

 探していたのよ。

 何が

 足りないのかなって。

 あなたに会えて

 ひとつだけ

 分かったの。

 この街って、

 どんどん

 逃げていっちゃうのね。

 追いかければ

 追いかけるほど、

 どんどんと……」

 

次世代ハイブリッド空気清浄機 Kirala Air

 

「大丈夫かい。

 足元に

 気をつけてね」

 君に

 手をかそうとしたが、

 君は

 それにすら

 気づかなかった。

 君は、

 一段ずつ

 上がって行くたびに、

 少しずつ

 変わってゆく

 風景の驚きに

 喜びを

 感じているようだ。

 ひとつ上り

 周りを見つめ

 また

 ひとつ上っては

 周りを見渡していた。

「ねえ、

 なんだか

 変な感じなのよ」

 君は

 ぽつりと

 そう呟いた。

「いったい

 何が

 変なんだい」

 息をきらしながら

 君の瞳を

 見つめようとすると、

 君の瞳は

 暗がりの中で

 小さな

 一粒の

 輝きとなって、

 僕ではなく、

 その風景を

 じっと

 見つめていた。

「ひとつ上るたびに

 なんだか

 違う何かを

 感じるの。

 でも

 それは

 すぐに

 慣れてしまうのよ。

 でも

 そうやって

 上ってるうちに

 もう

 いちばん上まで

 来てしまったわ。

 ねえ、

 見て。

 あそこに

 ほんのわずかだけれど

 小さな夕暮れが

 残っているわ。

 あの夕焼けの

 破片は、

 足りないと

 思っていた

 何かに

 似ているわ……」

 

 

「可笑しいものね。

 せっかく

 見つけ出せそうな

 大切なものが、

 もう

 見えなくなっちゃったのよ。

 なんだか

 もっと

 別なもの……

 この

 雑踏の空気に

 触れると、

 私にとっては

 どうでもいいようなものを

 追いかけなくちゃ

 いけないみたいな

 気がしてくるの」

 

 

・僕は

 葛藤の中に

 彼女を

 思い返しながら、

 カメラに

 残った

 数枚のフィルムで、

 雑踏に向けて

 何を撮るわけでもなく

 激しく

 シャッターを切った。

 街並みは

 何かに

 怯えているようだ。

 フレームの中では、

 身動きのとれない

 群衆たちの

 心理が

 渦を巻いている。

 誰かは

 逃げようと

 している。

 誰かは

 立ち止まろうと

 している。

 そして

 誰もが

 失ったものを

 探している。

 それは

 僕を

 裁こうとするもの

 であり、

 僕を

 つかまえようと

 しているもののようだ。

 人は

 誰しも、

 自分の世界から

 逃れることのできぬ

 苦しみを

 背負っている。

 

 

 

 

 

肌本来の透明感をかなえるオルビスの美白ケア