ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.151 『パラダイスを見つけた男』タルムードより

 

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《パラダイスを見つけた男》

 

 

 

 ある村に、

 粉屋の男が

 住んでいた。

 妻と二人の子供がいて、

 来る日も来る日も

 一日中

 粉まみれになって

 働いていた。

 そんな日々の繰り返しに

 嫌気がさし、

 もっと楽しい

 パラダイスが

 あるのではないかと、

 粉屋は考えた。

 

 ある時、

 粉を買った客と

 雑談をしていると、

「旅に出て、

 夜、

 靴を枕元に置いて眠り、

 翌朝、

 その靴が

 向いている方向に歩くと

 パラダイスがある」

 という言い伝えが

 異国にあると

 聞いた。

 粉屋は、

 その言い伝えが

 本当のことのように

 思えてならなかった。

「パラダイスを

 探してみよう」

 そう思った男は、

 ある日

 突然、

 妻にも告げずに

 子供も置き去りにして、

 パラダイスを探す旅に

 出てしまった。

 

 聞いた言い伝え通り、

 夜になると

 靴を脱いで

 寝袋の枕元に

 そっと置いた。

 朝起きると、

 小動物や風が

 靴を動かしていた。

 男は、

 靴が向いている

 その方向に

 歩き続けた。

 

 そして

 何十日も経った後に、

 ついに

 一つの村に

 たどり着いた。

 パラダイスにしてみては

 みすぼらしい村だった。

 村の中に入ると、

 見たことのある

 光景が広がり、

 聞いたことのある

 女の声と子供の声が

 耳に入ってきた。

 その家は

 粉屋で、

 門をくぐると、

 置いてきた

 妻と子供に

 そっくりの母子が

 暮らしていた。

 男を見ると、

 その母子は

「よく帰ってきたのね」

 と温かく迎え入れてくれたので、

「ここが

 パラダイスに違いない」

 と、男は確信した。

 

 男は

 置いてきた

 妻と子供には

 申し訳ないと

 思ったが、

 自分が見つけた

 パラダイスで

 一生

 暮らしていくことに

 決めた。

 そして

 昔と同じように、

 来る日も来る日も

 粉まみれになって

 一生懸命働き、

 平和に暮らした

 ということだ。

 

 

・幸せは

 単調な今の中にある。

 

 

 働くのが

 面倒になり、

 本当に大切なものが

 見えなくなっていた

 男が、

 別の幸せを見つけに

 旅に出る。

 歩き続けて、

 そこで

 やっと見つけた

 パラダイスは、

 見慣れた家で、

 そこには

 自分の妻と子に

 よく似た親子が

 住んでいた。

 この男は

 新たなパラダイスを

 見つけたと

 思っているが、

 これは

 明らかに

 男が住んでいた

 元の家である。

 とはいえ、

 この物語は

 男の馬鹿さ加減を

 伝えたいわけでは

 ないだろう。

 この物語が

 伝えたいのは、

 本当に大切なものは

 すぐ傍らにある

 ということだ。

 

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