ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.131 『グローバル恐慌』浜矩子 岩波新書 ー切り抜き6箇所

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『グローバル恐慌』

 金融暴走時代の果てに

   浜矩子

     岩波新書

 

 

 

「メイン・ストリートの

 繁栄なくして、

 ウォール・ストリート

 繁栄なし」

 

 

・信用の連鎖が

 無限に広がる

 金融自由化時代だ。

 その最先端を疾駆する

 投資銀行の世界では、

 信用の連鎖の

 網の目を介して

 誰が誰と繋がっているか

 わからない。

 誰もが誰かの

 カウンターパーティに

 なっている。

「繋がり過ぎていて潰せない」

 それが

 彼らの合言葉に

 なっていた。

 

 

・かつては、

 もっぱら

「大き過ぎて

 潰せない」かどうかが、

 倒産に瀕した

 金融機関に

 救いの手を

 差し伸べるか否かの

 判断基準だった。

 だが、

 今や、

 むしろ、

 誰が誰と

 どう繋がっているかが

 問題になる時代だ。

 それ自体は

 さして大きくなくても、

 地球を包み込む金融の

 蜘蛛の巣の中で、

 どんなコネクションの中に

 組み込まれているかによって、

 その金融機関が

 消えてなくなることの

 重みが決まる。

 

 

・いざ、

 災禍が

 我と我が身に

 降りかかってくるとなれば、

 もはや

 背に腹は代えられない。

 人のことを考えている

 ゆとりはない。

 いくら、

「繋がり過ぎていて

 潰せない」

 といっても、

 潰さない責任は

 結局のところ

 誰も負いたくはない。

「繋がり過ぎていて

 潰せない」は、

 事態が

 極限的に切迫してくると、

「繋がり過ぎているから

 救えない」

 という論理に

 すりかわってしまう。

 救いの神は

 誰か

 他の奴がやってくれ

 と言い残して、

 みんな、

 保身のために

 逃げ出すのである。

 実を言えば、

 その行動が

 事態を

 ますます

 悪化させるのであるが、

 嵐の中では

 そんなことに

 頓着しては

 いられない。

 誰もが、

 我が身可愛さの

 単独行動に走る。

 

 

・1971年8月15日の

 ニクソン・ショックは、

 このドルを軸とする

 通貨体制に

 終止符を打った。

 アメリカ自身が

 この体制を維持する

 債務を

 負い切れなくなったのである。

 端的に言えば、

 アメリカが保有する

 金の量よりも、

 遥かに巨額のドルが

 世界に出回り、

 アメリカから

 あまり物を買う必要が

 なくなりつつあった

 欧州諸国や日本の手元に

 ドルが溜まり始めたのである。

 こうなれば、

 ドルの有難みは

 薄れる一方だ。

 こんなにも

 世界に出回り過ぎている

 ドルの価値が

 暴落したら

 どうなるか。

 誰もが

 それを

 心配するようになった。

 紙切れになる前に

 金に換えておこう。

 その心理が

 人々を

 ドル売りへと

 駆り立てる。

 各国の通貨当局も、

 ドルの金交換を

 急ぐようになった。

 世界中から殺到する

 ドルの金交換請求に対して、

 それらを

 全て受けて立つ余力は

 アメリカに

 もはや

 残されていなかった。

 そのことを

 アメリカが

 世界に対して

 認めた日。

 それが

 1971年8月15日

 だったのである。

 その意味で、

 ニクソン・ショック

 基軸通貨アメリカの

 脱退位宣言に

 他ならなかった。

 王様が

 裸であることを

 自ら認めた日

 といってよい。

 

 

・裸宣言は

 それなりに

 屈辱的だ。

 だが、

 反面、

 いったん

 裸であることを

 認めてしまえば、

 これほど

 楽なことはない。

 体面をつくろう必要は

 もはや無い。

 ドルを刷るに当たって、

 保有する

 金との関係

 という意味での

 懐具合を気にする

 必要はなくなった。

 安んじて

 ドルを増刷し、

 経済を膨張させることが

 できるようになった。

 ドルの金交換性という

 タガを

 かなぐり捨てた

 アメリカは、

 以降、

 どんどん

 インフレ経済化の道を

 突き進むことになる。

 

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