ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.31 (抜粋9箇所)『 GOOD JOB 』 本宮ひろ志著

 

    『 GOOD JOB 』

       本宮ひろ志 著

 

 

 

「あの

 先輩……

 先輩は

 この仕事

 楽しいですか」

「バカかよ

 お前……

 仕事は

 食う為だろう

 生きて行くには

 何か

 やるしかねえ

 だがよ

 その中に

 無理矢理でも

 いいから

 楽しい

 と思う事を

 探すんだ

 楽しい

 と思う事……

 その一は

 俺達の後ろには

 法律というものがある

 そいつが

 味方だ

 その二

 調子よく

 金を稼いで……

 税金を

 ごまかして

 贅沢している

 奴らを

 狩る……

 法を

 味方にして

 正々堂々と

 イジメをやれる

 事だ……」

 

 

「大学出て

 就職して

 ゴールイン後は

 業務をこなすだけか

 奴らにゃ

 仕事の中に

 面白さなんか

 探せねえよ」

 

 

「それにしても

 最近の日本って

 おかしい……

 贅沢で

 綺麗な

 生活が

 当たり前だって

 慣れてる

 そのくせ

 楽しい事って

 すごく

 少ない

 世の中の

 娯楽は

 他人を

 物笑いの

 タネにした

 イジメだよ」

 

 

「実践なんて

 一度も

 やってないけど……

 もう14年か

 内緒で

 空手の道場へ

 通い出したのは……

 まあ

 自分一人で

 出来る事だ

 空手を

 始めてからだよ

 自由って

 自分一人の中に

 あるなって

 気が付いたのは……

 はは」

 

 

「うちの実家……

 銃砲店なんですよね」

「ああ

 知ってる」

「鉄砲の扱いは

 それなりに

 知ってました

 中学生の時にはね

 俺をいじめてた

 剣崎達5人に

 鉄砲ぶっぱなしたら

 気持ちいいだろうなって

 何度も

 思いましたよ

 面倒から

 逃げてばかりの

 先生……

 あんたにも

 なんで

 やらなかったと

 思います?」

「はっは

 つまらん

 冗談は

 やめろよ」

「損だから

 ですよ」

「……」

「ぶっぱなしたら

 その時は

 気分が

 いいでしょうけど……

 殺さず

 手や足を

 撃っても

 法という

 檻の中に

 何年も入れられ

 自由を

 奪われる

 ほんの

 一瞬の

 気持ち良さの為に

 長い期間

 自由を

 奪われる……

 それって

 損でしょう

 法律を

 バックにした

 仕事に

 就いた方が

 良い

 と思ってね……

 警察官は

 体

 きつそうだし

 税務署を

 受けてみたら

 受かっちゃった

 って事スよ

 でもね……

 税務署員って

 こんなに

 嫌われるのかって

 なってみて

 初めて

 分かりました

 どうって事

 ないスけどね

 俺……

 人から

 嫌われるのって

 慣れてるし……

 税務署に入って

 12年目スけど

 この仕事の

 面白さを

 見つけたしね……」

 

 

「俺ね

 今の

 仕事に

 入って

 生きてる気が

 しますよ

 いじめるのって

 相当

 楽しい事ですね」

 

 

「俺……

 先輩には

 ほんと

 いい勉強させて

 もらいました」

「何だと

 思う?

 人間の

 心の

 動きの中で

 一番

 使ってる

 感情って」

「えっ……

 何ですか……」

「“我慢”

 じゃないか

 って気がするよ……

 子供の頃から

 俺は

 我慢の中で

 生きてきたからかな……

 この前

 空港で

 生まれて

 初めて

 我慢を

 ふっ飛ばしてみた

 気持ちいいもんだ

 と思ってたけど

 全然

 気持ちなんか

 よくない」

「たしかに

 我慢って……

 人格を

 創り出す

 大きなモトかも

 知れませんね」

「がんばれ

 お前は

 千葉で

 上に

 昇って行く

 人間だ」

「先輩

 俺……

 先輩の

 お父さんの店

 たまに

 顔出して

 様子見ますから」

「ありがとう……

 うれしいよ」

 

 

「テレビだの

 週刊誌だのの

 最大の商品は

 イジメだぜ

 イジメる相手を

 見つけては……

 正義ぶって

 イジメを

 娯楽に

 しやがるんだ」

 

 

「金を……

 払うのは

 やめた方が

 いいと

 思うんスが」

「なぜ

 そう思う」

「俺が

 前

 働いていた

 所では……

 やばい状況の

 裏には……

 必ず

 宝の山がある

 それが

 現れるまで

 じっと

 耐えて

 あきらめるなって

 鉄則が

 ありやした

 わずか

 10日ですが

 その10日の間に

 宅配の仕事

 もっと

 いいやり方に

 変えた方がいいと

 思える

 所が

 いくつも

 見えるんスが」