ひーぶろぐ。

読書していたときに心に触れた言葉を残しています。

ひょっぽこ読書記録No.158 『正直な仕立て屋』タルムードより

 

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《正直な仕立て屋》

 

 

 

 ある国で

 大干ばつが

 起こった。

 何日経っても

 雨は

 一向に

 降る気配がない。

 作物は

 すべて枯れ、

 飲む水がないために

 家畜は

 次々と

 死んでいった。

 そんな時に、

 ある村のラバイが

 夢を見た。

 夢の中で、

 神が

 そのラバイに

「この次の安息日

 服の仕立て屋の

 ご主人に、

 ビマー(祈り台)で

 祈りを捧げなさい。

 そうすれば

 大地に

 雨を降らせよう」

 と話した。

 翌朝、

 ラバイは

 この夢のことを

 思い出したが、

 すぐに

 こう考え直した。

「あの仕立て屋の

 ご主人は、

 ヘブライ語

 よく読めず、

 聖書の内容も

 ろくに覚えていない。

 あんな人間に

 みんなを代表させて

 ビマーで祈らせるなど、

 どうして

 できるだろうか。

 こんな夢は

 あてにならない」

 神への祈りは

 ヘブライ語でするものと

 決まっており、

 当時、

 ヘブライ語

 きちんと

 勉強しなければ

 読めない

 言葉だった。

 そこで、

 村では

 ヘブライ語を使える

 人間を集めて

 祈らせ続けたが、

 雨は

 まったく

 降らなかった。

 一週間が過ぎて、

 またラバイは

 同じ夢を見た。

 それも無視すると、

 また次の週にも

 同じ夢を見た。

 ラバイは

 三度も

 同じ夢を見たので、

 これは

 神の意志に

 違いないとして、

 仕立て屋に

 祈らせることにした。

 仕立て屋は、

 いつも使っている

 巻き尺を持って

 祈り台に向かうと、

 気負うことなく

 自分の言葉で、

 次のように

 祈りだした。

「神様、

 私は

 仕立て屋の

 仕事を始めて

 40年にもなりますが、

 ただの一度も

 人を騙したり、

 ずる賢い商売を

 したことは

 ありません。

 この巻き尺を

 ご覧になっても

 おわかりの通り、

 一分の狂いもない

 正確な巻き尺を

 使っています。

 ほかの仕立て屋は、

 わざと

 目盛りを狭くした

 巻き尺で

 生地を

 多く使ったように

 見せて、

 高い値段で

 服の代金を

 請求しています。

 粉屋も

 わざと

 秤を狂わせて、

 粉を

 見かけよりも

 少なく

 売っています。

 油屋も

 そんなことを

 しています。

 私は

 そういうことを

 していません。

 どうぞ、

 この私の

 正直で

 適正な

 商売を

 評価して

 いただけるならば、

 なにとぞ

 雨を降らせて

 くださいませ」

 すると、

 天空に

 雷鳴が轟いたかと

 思うと、

 一天

 にわかに掻き曇り、

 大粒の雨が

 降り出した。

 大地を潤す

 恵みの雨であった。

 人々は

 歓喜の声を上げ、

 その雨で

 国中が

 救われた。

 仕立て屋の起こした

 奇跡を見た

 シナゴークの会衆たちは、

 自分の店に

 飛んで帰り、

 秤や巻き尺を

 正しいものに

 取り替えたり、

 修理したりした。

 そして、

 これにならって

 国中の人が

 同じことをして、

 ごまかしたり、

 不正な商売をする者は

 誰もいなくなった。

 この様子を見た神は

 大変満足されてた。

 そして、

 その国に

 毎年決まった時期に

 雨が降るようになり、

 人々が

 干ばつに

 悩まされることは

 なくなった。

 

 

・正直な生き方に

 お金は集まる。

 

 

 この話で

 教えているのは、

 商売で大切なことは、

 お金そのものではなく、

「正直な生き方を貫くこと」

 だということです。

 

 

「古い果物の上に

 新しいものを重ねて

 籠に入れて

 売ってはならない」